悪徳業者から身を守る

2013年6月1日 記 : ITCクラブ専門指導員 鈴木 朗
  • 講義題目
    : 悪徳商法に狙われる高校生・大学生
  • 講師
    : 悪徳商法被害者対策委員会会長 堺 次夫
  • 日時
    : 平成25年6月25日(木)13:30~14:20
  • 場所
    : 視聴覚接室
  • 参加者
    : 工業科3年1組35名、工業科3年2組34名

堺講師による「悪徳商法に狙われる高校生・大学生」の講義を聞かせて頂きました。堺講師は消費者問題研究家であり、悪徳商法被害者対策委員会会長でもあります。 悪徳商法撲滅に関する研究を約50年間行われ、その活動と功績により救済された人は計り知れません。

講師の膨大な経験と情報を1時間に収める事は困難です。 今回は、学生に合わせたテーマから、特に重要なポイントを講義して頂きました。

堺講師の講演を聞く学生達

主な講義内容

  • 過去の悪徳商法の実態
  • 悪い人は見た目では分らない
  • 電話による悪徳商法の手口が巧妙化
  • アンケートや登録などで個人情報流失の危険性が高まる
  • 現在はインターネットに関連したトラブルが加算
  • マルチ商法の被害実態と加害者になる怖さ
  • 狙われやすい被害者は若者、女性、高齢者
  • 被害に遭った人は再び狙われる

講師は被害者の行動と状況描写を交えて実例を演じてくださいました。ユーモアを交えた分りやすい説明ですが、その分、被害の怖さが伝わって来ました。

被害者の言葉はほとんど同じです。

  • 「まさか私が」
  • 「あんなに良い人だったのに」
  • 「後から思うと、話を聞いている時に変だと思った」

人の心の隙間は似ているのだと思いました。 悪徳業者の手口は高度にシナリオ化され、多くの人が当てはまってしまうようです。

マルチ商法について仕組みを講演される堺講師

学生は親や先生に大切にされて育てられて来ました。 陥れようと近寄って来る悪徳業者に対して免疫が無い事は以下の例で分かります。

  • オンラインゲーム人気ソフト被害
  • 「アイドルは君」悪質勧誘ご用心
  • マルチ商法被害により命を絶った高校生

特に怖さを感じたお話は 「被害者が知らない内に加害者(犯罪者)になってしまうと人間関係が全て壊れてしまう」ことでした。 悪徳商法撲滅の知識は個人だけではなく社会問題を克服する知恵だと思いました。

感想

堺講師の授業を高校生の内に聞きたかったと思いました。私が居た学生寮にはマルチ商法に参加していた寮生が数名いました。その内の一人は私の友人で、彼に勧められ私も入会書に記入しました。その後、友人は組織が変だと気が付き、すぐに本部に行って私の書類を破棄した事を後から聞きました。お陰で私には被害が及びませんでしたが、友人は50万円程の負債を負ったそうです。

それまで親や先生に大切にされ、友人と楽しく生活していた私としては考えられない事件でした。堺講師のお話を高校生時代に知っていれば、私も入会せず友人を早く止める事ができたのではないかと思いました。高校を卒業して保護者と離れて生活したり、高校生時代より扱うお金が大きくなると危険度が高まると思います。

夢を叶えたい、幸せになりたいと思うのは人の始原的な欲求です。大切な人と暮らせば、その想いは更に強いものになります。その心の隙間を狙う人が身近に来るかも知れないのです。

人は真面目に生きていても一瞬で犯罪者になります。交通事故を不注意で起こし、重大事故となればその瞬間から犯罪者です。また、騙されていることを知らずに人を巻き込んだ場合でも犯罪です。勉学やスポーツ、勤労に励み、他人への思いやりを持った優しい人でもこの落とし穴で人生は一変します。

被害者はもちろん苦しい思いをしますが、周囲の人が励ましてくれるのが救いです。しかし加害者になった時は誰も助けてくれません。噂は早く広がり、人の記憶の中でその人は命を失ったことに等しくなります。

堺講師の授業は具体的な現場の再現をしてくださいました。もし、その場に行ってしまった時、今日の授業が頭の中を過(よぎ)り思い出すのではないでしょうか。状況が似ている事に気がつけば致命傷にならないと思います。授業を聞いた人は大きな利益を得たと思います。

時間の関係で堺講師も苦慮されたと思いますが、分りやすく楽しい授業でした。人の人生を大きく左右する悪徳商法の被害者にならないことは自衛だけではないと思いました。真面目な人が損をしない悪徳業者のいない世の中にするために、一人一人が対策の知恵を付けなければならないと思いました。

以上